(3) 排気ガス中のエネルギの回収
排気タービン過給機は機関との間に機械的な連絡がなく、機関燃焼による排気エネルギを利用してコンプレッサを駆動し、シリンダ内への給気量を増大して機関の出力増加をはかり、その性能を確保すると同時に、各部の熱負荷の軽減と、更には排熱を利用する(回収する)事で熱効率の向上に寄与している。このように出力が増加された過給機関にとっては、過給機は、機関燃焼系統部との複合体として取扱かわねばならない。従って過給機を利用する方法(設備保守を含め)が適当でないと機関性能を確保することは難しくなる。
ディーゼル機関に噴射される燃料の全エネルギの交換状況を2・197図に示す。
一般に、排気ガス中に含まれている熱量は燃料の全熱量の40%に相当する。このうち低熱源への放熱熱量は、熱力学上回収不能な部分である。残りの排気温度が大気温度まで下げられないための損失と、シリンダ内の圧力を大気圧まで下げられないための損失は、排気タービン過給機によりその一部分を回収することが出来る。