2) プロペラボス内部への海水浸入、または油もれの有無
上架したならまず、ボスのプラグを外して海水浸入の有無を調べる。少々の海水は浸入していてもまず問題はない。すなわちボス内部には空気がないのでほとんど発錆もなく、また相当量の海水がはいってもわずかに黒色の点蝕ができる程度で、作動や機能にはほとんど影響はない。
3) 船内変節装置
可変ピッチプロペラ装置としては、回転部(主軸および油ポンプ)はともかく、変節時のみ運動する(部分往復運動部ならびに回転運動部)の作動頻度と速度は、一般機械に比較すれば全く問題ないほど少いので、各運動部の潤滑が十分になされていれば、装置自体の日常の手入れは、新造船後2〜3年はほとんど必要がないのが普通である。したがって、点検ならびに手入れの時期の大ざっぱな見当として、中間ならびに定期検査時に実施すれば十分である。
4) プロペラ翼の零点の確認
翼角の基準となる零点は、どの製造所でもボスに打刻をしてあるから、据付時同様にこのマークと船内変節装置のうち追従装置、管制弁などのマークを正確なチャンバゲージによって一致させ、その後で各指針をこれに合せる。
4. プロペラ・軸系整備修繕基準
4.1 適用範囲
この基準は、就航船舶の銅合金プロペラ、プロペラ軸およびその付属品、可変ピッチプロペラ装置のプロペラ部およびプロペラ軸部の検査ならびに整備・修繕を行う場合に適用する。
4.2 プロペラ
1) 検査
検査に支障がないように表面を清掃する。
(1) 検査項目
検査項目は次のとおりとする。
1] 曲損
2] 欠損
3] 亀裂
4] キャビテーション・エロージョン(潰食)およびコロージョン(腐食)
5] 組立形プロペラの場合は、翼取付けボルトの損傷
(2) 検査方法
目視検査とし、亀裂が発生しているおそれがある場合は、カラーチェック検査を行なって、状態を確認する。ただし、前進面側翼根元R部の中央付近より0.4Rまでの間は、カラーチェック検査を必ず行わなければならない。なお、スキュープロペラの場合は0.6Rに置き換える。