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異物が混入すると、

1] 変節機構が作動不良となる。

2] こし器がつまったり、ポンプを損傷する。

3] 軸受メタル、その他を損傷する。

 

2) 危急時の処理

可変ピッチプロペラにおいて、プロペラ変節に異状をきたす事故として考えられるのは次のごときものである。

(1) 操縦ハンドルを動かしても管制弁箱の管制弁が動かない

この場合に最初に考えるべきことは、スタンドより可変ピッチプロペラ管制弁までの途中の遠隔操縦装置に異状があるかないかということで、リンク機構の場合はピンが抜けたり、キーが脱けたりする事がある。又、電気式の時は電線の切断、接続不良等が原因であり、油圧式のときは管の破裂、接続部洩油等が原因である。

次に管制弁の内に異物が混入し、管制弁の移動を妨げる事がある。このときは管制弁を分解して異物を取りのぞく必要がある。あるいは海水が変節油に混入したことを知らず、そのまま長時間放置しその後再使用したとき等には発錆のために作動不良となることもある。

(2) 管制弁が動いても追従輪すなわち油圧ピストンが動かない

この場合は、作動油の油圧が低下しているか、あるいは作動油が管制弁からサーボシリンダまでの間で多量に洩れている事が考えられる。従って圧力調整弁またはサーボシリンダに至る油回路を調べる。

油圧系統の故障でどうしても変節できないときは、応急処置として機械的にある一定の前進ピッチに固定する機構がつけられているのが普通で、それによって帰港することができる。

(3) ピストンが動いてもプロペラ翼が動かない

変節棒の切損、クランクレバーの切損、あるいはボス内部機構の異常によるもので、ボス内部の事故の場合はドックに入って調べる必要がある。

しかしこのような事故は未だ実船においては、わが国では一隻も発生していない。

 

3.5 ドック時の解放検量

1) 各種パッキンおよびオイルシールの点検

製造所や形式によって、パッキンやオイルシールの使用個所ならびに使い方に多少の差はあるが一般に可変ピッチプロペラでは、パッキンとオイルシールは重要な構成部分をなしている。

最近は、これらの材料や成形技術も非常に進歩してきたので、半年や1年で交換しなければならないということは無いのが普通で、強いていえば、プロペラ翼のオイルシールのみは2〜4年に1回(メーカー説明書参照)、その他は定期検査時に点検し、要すれば取換える程度でよい。

 

 

 

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