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2) 翼強度

3次元的な形状の変化が大きいスキュー翼では、従来の梁理論による近似的な方法では、流体力や遠心力による翼のねじりの影響が考慮できず不十分であった。従って流体力による荷重は揚力面理論計算(MFM)プログラム、遠心力による荷重はメッシュゼネレータプログラムにより計算し、これらを組合せた有限要素法(FEM)による翼応力解析システムにより最適強度設計を行っている。

なお、従来の揚力面理論計算法(MFM)ではノズル内のプロペラ、ハイスキュープロペラの解析は困難であったが、渦格子法による非線形揚力面理論(VLM)プログラムを活用することによって、現在では特異点の計算および後流の渦の変化も考慮することが可能になった。更に翼面圧力分布、単独性能を精度良く求めることによって、従来の水槽試験による設計資料の範囲を越えた特殊プロペラを設計する上で効果を発揮している。

プロペラ起振力の面から見れば、できるだけ大きなスキューを採用する方が、起振力のより大きな軽減効果が期待できるが、それを制限する要素として翼強度の問題がある。

スキュー翼はその形状の特殊性から、普通翼とはかなり異なった応力分布となっている。またスキュー翼については、従来の梁理論では正しい応力の分布を求めることができない。従って、有限要素法(FEM)を用いて翼強度の解析を行っている。

3・55図及び3・56図は、それぞれFEMにより求めた普通翼とスキュー翼の応力分布を示す。

3・56図で明らかなようにスキュー翼では、普通翼と違い応力の最大値が後縁側に移動しており、スキュー角を更に大きくした場合0.5R〜0.6R付近の後縁により高い応力が発生する。従って、スキュー角を決定する場合、翼強度と起振力低減効果等を総合的に判断し決定しなくてはならない。特に固定ピッチプロペラの場合での後進時の応力分布(3・56図)が、可変ピッチプロペラ(3・57図)と相違するので注意する必要がある。

 

 

 

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