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船尾管内には油が充満されているのでプロペラ軸の軸身が直接海水に接触することはない構造である。ただし、船尾管軸封装置は、船舶機関規則などによって承認されたものであることが条件である。

 

3) プロペラ軸にクロスマークなどが発生した場合

プロペラ軸には、主機関から伝達される変動トルクやプロペラが発生する種々の変動力、変動曲げモーメントなどが複雑に作用する。このような苛酷な使用条件にあるため、プロペラ軸には、3・14図に示すようなプロペラ軸の船首側および3・16図に示すようなプロペラ取付部にクロスマークまたはヘヤクラックが発生することがある。この場合、クロスマークやヘヤクラックの発生原因を究明し対策を講ずる必要がある。この場合の処置として、軸身のクロスマークやヘヤクラックの状況を確認しなから3・22図に示す要領でラウンドオフにして削正修正する。修正を行った部分は、染色浸透探傷または磁粉探傷を行ない、欠陥、傷などは完全に除去されたことを確認する。プロペラ軸は、船舶の主要部品であるため船舶機関規則などでその強度が規定されているので、傷やヘヤクラックの削正修正の際は事前に検査官と協議した後、立会の上施工しなければならない。また、補修前に欠陥、傷などの見取図を作成しておく必要がある。

 

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3・22図 軸身の傷の修正要領

 

4) プロペラ軸と中間軸との芯出し

小形船の場合、プロペラ軸を船尾管軸受に装着しプロペラ軸にプロペラを取付けた状態で船尾管船首側のパッキングランド部のスキマを計測して芯に置き、プロペラ軸の基準として中間軸を合わせる。軸の芯出しは、ダイヤルゲージで軸継手フランジの外周の芯振れ(サグ)やスキミゲージにより面振れ(ギャップ)を計測し計画値になるよう中間軸受の高さを調整する。中間軸の芯出しが終った後同じ要領で推力軸、主機関の芯出しを行う。

小形船の場合、軸継手フランジの芯出しの基準値はメーカあるいは造船所からの指示値に基づいて芯出し作業を行うことになるが目安として一般的な例を3・23図に示す。

1] 軸継手フランジの芯振れは上下左右共零(0)となるよう調整する。

 

 

 

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