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組立型軸継手は、結合方式により、焼嵌式、テーパ式、油圧押込式、スリーブカップリング式などに大別される。

3・3図に示すように焼嵌式は、軸部は平行に加工され、主機関のトルクに対して所定の焼嵌代で軸継手を軸に焼嵌めし、キーを用いず結合するものである。この焼嵌式軸継手は、船内での焼嵌作業があるので作業性が劣る。3・4図に示すようなテーパ式軸継手は、継手結合部の軸部は、1/12のテーパをもったコーンパートに加工され、キーを用いて主機関のトルクに対して所定の押込量になるまで、軸継手ナットで締め付けるもので、押込量の確認は、ダイヤルゲージなどで行う。この方式は、比較的小径の軸に用いられる。また、この方式の場合、軸のテーパ部(コーンパート)と軸継手との当り面は、できるだけ均等になるよう仕上げるとともに面の当り率は、75%以上とする。3・5図に示す油圧押込式継手は、継手結合部の軸部は1/12のテーパをもったコーンパートに加工される。キーを用いて油圧ジャッキが内蔵された、軸継手ナットで主機関のトルクに対して、所定の押込量になるまで、押込量をダイヤルゲージなどで確認しながら押込む。この方式の場合、軸のテーパ部(コーンパート)と軸継手との当り面はできるだけ均等になるよう仕上げるとともに面の当り率は75%以上とする。この方式は、比較的軸径の大きい軸継手に用いられる。またキーを用いないキーレスの構造の軸継手もある。

3・6図に示すスリーブカップリングは広く知られているSKFのカップリングで、鋼で作られた二つの組合わせたゆるいテーパのインナスリーブ(内筒スリーブ)と内径がテーパになっている丈夫なアウタスリーブ(外筒スリーブ)から成り、インナスリーブの内径は、軸径より若干大きく簡単に軸方向の位置ぎめすることができるようになっている。カップリングの端に接続される油圧装置からの圧力により、アウタスリーブはテーパの付いたインナスリーブの上をスライドしながら締めつけていき、油圧を抜くと、その締めつけ力で軸の結合が行なわれる。カップリングを外すときは油圧を両スリーブの間に圧入し、インナスリーブとアウタスリーブとの間の摩擦力が減じると、テーパになっているので、アウタスリーブを軸方向に動かそうとする力が生じて軸の結合を外すことができる。

 

2) 継手ボルト

継手ボルトは鍛鋼製であり一般に多く使用されるのは3・7図に示すような平行リーマボルトである。リーマボルトの径は、主機関の出力および回転数により、船舶機関規則の算式によって決められる。また合格した規格材を使用し検査に合格したものでなければならない。リーマボルトの径は、継手フランジのボルト穴の径に対して、或る所要のしめしろをもって機械加工される。リーマボルトは、通常は常温の状態のままで打撃ハンマで継手ボルトの穴に挿入する。また、比較的リーマボルト径が大きいものは、リーマボルトの挿入を容易にするため、リーマボルトをドライアイスなどで冷やして行う。リーマボルトは、継手フランジの穴に挿入後ナットにて締付け、しかるのち回り止めをする。3・8図に示すテーパボルトは、機械加工に困難さがあるが、船内でリーマボルトの着脱作業に十分なスペースがない場合は、継手ボルトの着脱が容易にできる利点がある。

 

 

 

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