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(vi) 鉛栓(フュージブルメタル)

火災などによって空気槽の温度が異常に上昇した場合、鉛合金が溶けて空気を放出することによって危険を防止するようになっている。

(b) 点検と整備

定期的にドレンを抜くと共に弁シートの当りおよび空気槽内外面の腐蝕を点検する。

(2) 空気始動分配弁

(a) 構造と機能

各シリンダ毎にピストン位置に適合させて圧縮空気を吹き込む様に作動しているものである。弁、弁本体および弁ふたから成り、カム軸によって駆動される。

弁はカム軸の回転によってまわり、2・143図に示すように弁の切り欠き部(または孔)と弁本体の穴が合致したとき弁の背後にきている空気が弁本体の穴をへて始動弁に至る。

 

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2・143図 分配弁

 

始動位置は弁が1/5位開いて空気が十分通る開度となった一般に圧縮上死点過ぎ15°の位置としてある。

(b) 点検と整備

分配弁軸とブッシュの摩耗、焼付のほか分配弁キーのガタ、接手のガタなどを点検すると共に分配弁カバーと分配弁とのスキマなどに注意して点検する。

(3) 始動弁

(a) 構造と機能

シリンダヘッドに取付けられ始動空気の流入と燃焼ガスの逆流防止をしている。

作動は2・144図に示すように、始動空気によって自動的に開き、弁バネおよびシリンダ内圧によって閉じている。始動空気はこの弁をへてピストン頂部に作用してピストンを押し下げ、エンジンを始動させる。

(b) 点検と整備

弁および弁シートの当たりを点検し修正する。吸排気弁の修正と全く同様に行う。弁箱内で弁軸が円滑に作動することが大切で摺動部の摩耗のほか弁軸の曲り、パイロット弁の作動、戻しバネの折損などについて点検し、使用限度を越えるものは交換又は修正する。また各部の錆付きや腐食についても注意すると共に錆などは目の細かなサンドペーパで清掃する。

 

 

 

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