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海水を冷却水として利用しているので、冷却水の出口温度は塩分の析出を防止するために55℃以下に押える必要がある。また、低回転時に機関が過冷却となり低温腐蝕摩耗を発生する恐れがあり、これを防止するために、自動温度調節弁の使用、又は手動により、海水が規定温度になるまで機関内部を循環させる方式を採用しているものもある。

 

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2・77図 海水直接冷却系統図

 

(2) 海水間接冷却方式(清水冷却機関)

2・78図に示すように海水ポンプと清水ポンプが付属されており、それぞれ別経路になっていてエンジン内部の冷却は清水で行い、清水クーラ(冷却器)を介して海水との熱交換が行われている。また潤滑油は海水又は清水とオイルクーラ(潤滑油冷却器)で熱交換を行っている。

清水温度の調整は、自動温度調整弁(サーモスタット)で清水冷却器を流れる清水量の調整で行われる。また始動時の早期エンジン暖機と低回転時の清水温度の低下を防止する目的で清水切換弁が付属されているものもある。最近の高速エンジンの殆んどは、耐蝕性、耐摩耗性ならびに冷却水損失に優れた清水冷却方式が採用されている。

 

1) 冷却水ポンプ

(1) 構造と機能

冷却水ポンプとしてはプランジャ式ポンプ、渦巻式ポンプ、又はヤブスコポンプが使用されている。

渦巻式ポンプは主として一定回転のエンジンに使用し、プランジャ式ポンプおよびヤブスコ式回転形ポンプは船用主機のように回転速度の変化するエンジンに使用している。渦巻式ポンプには歯車駆動のものとベルト駆動のもの、そして自吸式のものなどがある。

 

 

 

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