腐蝕や亀裂、拡管部やロー付け部の弛みや外れなどがあると潤滑油が冷却水側へ流出したり、停止中に冷却水が潤滑油側へ漏れたりする。
パンクや漏れなどの点検には水圧テストにより浅水の有無を確認する。但しテスト圧力については常用圧力の約2倍の水圧を加えて行うが、圧力を規制しているものもあるので注意を要する。
5) 油圧調整弁
(1) 構造と機能
潤滑油ポンプより送り出された油が、エンジン各部に十分いきわたる様にするため適切な圧力に調整する機能を持っているのが油圧調整弁である。簡単なものはオイルシグナル式が、また精密なものはバルブとスプリングを持った本格的な調整弁が使用されている。
(2) 点検と整備
弁およびシートの当りを点検し、摩耗の激しいものは交換する。シートの軽微な傷は摺り合せ修正する。弁ばねのへたり、折損、損傷の有無を点検し悪いものは交換する。分解した場合は試運転時に正規の圧力に調整する。
2.5 冷却装置
エンジンを冷却しなければ燃焼室で生ずる高熱のためにシリンダおよびピストンなどは膨張して焼付き、運転不可能となる。あるいはシリンダへの注油が効力を失い、かつシリンダ内へ空気を十分吸込むことも不可能となるほか過早着火をおこす。これらの故障を防ぎエンジンを円滑に運転するために冷却が必要である。
冷却方式としては、空気冷却と水冷却とがあるが、舶用機関では一部を除き水冷却方式が採用されている。
水冷却装置はキングストンコック(船底弁)、冷却水ポンプ、冷却水加減弁などで構成され、方式には、海水直接冷却(海水冷却)と海水間接冷却方式(清水冷却)がある。海水冷却と清水冷却のそれぞれについての一例を次に示す。
(1) 海水直接冷却方式(海水冷却機関)
2・77図に示すように冷却水は船底にあるキングストンコックから冷却水ポンプによって吸上げられ潤滑油冷却器を通りシリンダの下部より入って、エンジン本体、シリンダヘッド等を冷却して船外へ排出される。