(3) 洗い油による洗浄
通常のゴミなどは洗い皿の中に洗い油を入れて洗浄するか、循環式の洗浄槽を利用して行うと良い。
2) 部品の点検および検査
部品を修理するか交換するかの判断は整備基準(修理基準や使用限度など)に基づいてきめられるが、点検ミスや判断に誤りが生じないようにしなければならない。またいい加減な判断をせず不明な点はメーカと相談の上、処置することが大切である。
(1) 外観の点検
外部の欠陥を目視で点検するが特に次の点に留意する。
(a) 表面の状態
ピストン摺動面の異常な摩耗、頂面及びリング溝等の亀裂、シリンダライナ内面の傷、軸受のかじり、軸受メタルやメッキの剥離溶損の有無等。
(b) 破損の有無
軸、歯車、ピストンリング、ばねなどの折損、破損の有無。
(c) 腐蝕の状態
ライナつば部および外周、シリンダやシリンダヘッドの水ジャケット部、ポンプ部品など海水、清水にさらされる部品の腐蝕状態。
(2) 寸法計測
重要な部品については各部の主要寸法を計測し、整備基準に従って限度を超えたものは修正又は交換する。機関を分解するごとに各部の主要寸法を計測し記録しておけば、異常摩耗か否かを直ちに判断することができる。
(3) 亀裂の検査
目視で発見できない傷や亀裂は、磁気探傷法あるいはカラーチェック法などの非破壊検査で調査し、異常が認められる場合は部品交換又はメーカと相談の上処置する。
(4) 硬度検査
ピストンピン、ギヤ等の焼入部品の硬さ試験に広く使用されているものにショア硬度計がある。持ち運びが便利であり測定も容易である。また、小形であることより船内での硬度測定に便利である。
また、ハードネスタ(硬度比較ヤスリ)による硬度の測定法も軽便である。測定方法は、測定しようとする部品に硬度の判っているヤスリをかけ、そのかかり具合により硬さを比較測定する方法であり、ショア硬度計のように姿勢に拘束されることなく、測定することができる(但し、測定面に僅かな疵がつくことがあるので注意を要す)。
3) 機関の整備基準
機種別に定められた整備基準に従い、修正又は新品と交換するかを判断しなければならない。損傷、摩耗の程度によっては次回検査までの使用条件や使用時間などを考えて交換すべきか否かの判断を必要とし、大事を取り過ぎては修理費が増加し、軽く考えては大事を招く恐れがあり難しい判断が必要となる。