5.2 燃料の噴射時期が燃焼におよぼす影響
(1) 噴射時期が早すぎる場合
シリンダの温度と使用燃料のセタン価が高い時は過早着火となるが、一般に圧縮温度が十分でないときに噴射を始めるため、着火おくれが大となり、着火と同時に多量の油が一時に爆発し、ディーゼルノックを生ずる。
いずれにせよ、燃焼最大圧が高くなりノッキングを起こす他出力も低下する。
(2) 噴射時期が遅すぎる場合
シリンダ内の圧縮温度が十分上がったところで噴射が始まるのであるから、燃料の着火遅れは小さくなり、したがって最高圧力が下がって静かな運転ができる。
しかし、噴射終わりが遅くなって、燃焼室圧力がかなり下がってからも噴射され、油粒は十分な熱と空気を得られず燃焼時間が長びき排気が始まるまでの膨張期間中燃焼が継続する(これを後燃えという)ため、排気色が悪化する他排気温度の上昇など排気損失が増えて、熱効率が下がり出力が低下する。
これらの模様は1・15図に示す噴射時期の遅早を調べる手引線図によって明らかである。
6. 舶用機器に使用される材料
舶用機器に使用される材料は、強度、耐摩耗性、耐熱性、耐腐食性、耐振動性等が要求されるばかりか、使用される場所によって材質の指定や材料検査を義務つけられたものが多くある。
また、前に述べたようにSI単位の導入により、今まで使用されてきた材料を表示する記号も変わるものもでてきた。
よって、ここでは各機器に使用される主な材料に就いて説明をする。
6.1 SI単位導入による材料記号の表示について
従来は、丸材、角材や六角材等に通常使用されている一般構造用圧延鋼の材料記号は〔SS41〕と表示されていたが、最近では〔SS400〕となっている。同様に、シリンダヘッドやシリンダ等に使用されている鋳物の場合も〔FC15〕や〔FC25〕の表示が〔FC150〕や〔FC250〕となっている。