計算機やコンピュータのように、電気を利用して情報を伝える機械を電子機器と呼び電子の動きを制御することによって動く機械である。また、電子は非常に小さいので、それを制御する機械も非常に小さくてすむ有利性がでてくる。ですからコンピュータの部品は非常に小さくて、それを組み立てればいくらでも複雑な回路が作れるので、コンピュータは驚くべき能力を持ったものになったわけである。
5) 自動制御する機械
電気信号の動きで最も重要なのは、機械を制御すること…つまり、ただ単に動かしたり止めたりするのでなく、情報や命令を送って、機械の動きを調節することである。
機械を制御するための信号を出すためには、センサ(感知装置)や探知器をが使われ、金属や煙のような物質があることを探知したり、温度、圧力、速度などの量を測定したりする。また、この様な電気的な機械をコンピュータにつなげば、力学的な機械を制御することができるし、情報の処理に使えば、正確さといい、速度といい、人間にはとうてい不可能な仕事をやってのける。
6) 舶用機械への応用
現在、私たちの毎日の生活のまわりにも何億もの電子が恐ろしく複雑な回路を通り抜けて流れてゆく機械に囲まれていると同時に、舶用機械の中にも動力から制御まで電気に頼っている。そこで、以下に舶用整備士として必要な知識を述べる。
5.2 電気一般
1) 正電気・負電気
電気には、プラス(正)の電気とマイナス(負)の電気があり、乾電池やバッテリにもプラスの極とマイナスの極があって、ラジオや電子時計などに電極を間違えて入れると作動しないことは今日では誰もが知っていることである。
物体を摩擦すると、二種類の電気が起こることを発見したのは、1933年、フランスのデュフェーという人である。
簡単な実験をしてみる。
補・57図のように、絹糸の下に発泡スチロールの小球をつるした電気振り子を作り、乾いたガラス棒を絹布で擦り、小球に近づけると、いったん接触し、そのあと、互いに反発する。
これは接触と同時に、ガラス棒にあった電気の一部が小球に移ったためである。
このように電気は互いに反発する。
次に、エボナイト棒または琥珀を毛皮やフェルトで擦って同じ小球に近づけると、再び互いに引き合う。しかし、両者がいったん接触すると、今度はエボナイト棒にたまっていた電気が小球に移り、小球と同種の電気になるので、再び反発する。
このように摩擦電気には二種類あることがわかる。
デュフェーは、ガラスにできた電気と同じ方に「ガラス電気」琥珀にできたと同じ方に「樹脂電気」という名をつけた。