3) プロペラ損傷の種類
(1) 割れ
海難事故による曲りにともなう割れの他に応力腐食に起因する割れが生ずることがある。
応力腐食割れは高力黄銅プロペラに多く、検査時に見落した微細な割れを、そのまま使用したため進展して、翼が折損した例もある。
アルミニウム青銅は、海水中での応力腐食割れの感受性がすくないため事故例はすくない。
(2) 曲り
プロペラの曲りは主に流木、流氷その他の浮遊物が、回転しているプロペラに衝突することにより発生する。
(3) キャビテーションエロージョン(潰食)
プロペラの回転にともない空洞現象によって発生した気泡が翼表面上で崩壊し、急激な衝撃が加わるため、翼表面がアバタ状になる物理的破壊現象で、翼表面のエロージョン、翼後縁の曲損、欠損が発生する。
(4) コロージョン(腐食)
プロペラは海水中での耐蝕性は良好であるが、極度に汚染されている海域または船体防食が不十分である場合、時として、コロージョンが進行することがある。これは化学的現象で、翼厚が薄くなることもある。