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(3) 軸の曲がり

クランク軸、発電機などのロータ軸、中間軸、プロペラ軸など、動力伝動軸系に曲がりが発生すると、軸芯をうまく調整できなくなるばかりでなく、回転時に軸が振れるので、メタルなどの軸受荷重が大きくなり、油膜が切れて、焼付いたり、振動を発生する。

これら軸の曲がり点検は、カップリング接手ボルトを外し、軸を手で回しながら、カップリング外周の振れをダイヤルゲージで測定し、0.1mm以上も振れる場合は、軸の曲がりを点検をしなければならない。

軸の曲がり修正限度は、軸の両端部の軸受け部分をV形ブロックなどで支持し、下図のように中間部の振れをダイヤルゲージで測定する。軸の曲がりは、ダイヤルゲージの振れ巾の1/2であり、この寸法が軸の曲がり許容値を超える場合は、軸の曲がりを修正しなければならない。

 

198-1.gif

 

軸の曲がり許容値が、一般に下記の基準による。

a) クランク軸

・ 小型機関の場合    0.02mm以下

・ 中型機関の場合    0.04mm以下

b) 発電機ロータ軸

ステータ部とロータ部の回転スキマの1/2以下

c) ポンプのロータ軸

インペラとケーシングのスキマの1/2以下

d) 中間軸

軸受けスキマの1/2以下

e) プロペラ軸

0.05mm以下

(4) クランク軸のデフレクション

機関の据付け芯出し、前端動力取出し(横引き)などの良否を点検する方法として、クランク軸のデフレクションを測定しなければならない。

不良な場合は、クランク軸に曲げ力が働くので、クランク軸が回転する時に、アームが開閉作用を起こす。この開閉作用をクランク軸のデフレクションと云い、この値が大きくなると、材料が繰り返しにより疲労破壊し、クランク軸が折損する。詳細については、「第5章1・3デフレクション計測とその処置」による。

 

 

 

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