c) 芯出し不良
軸芯の調整は、カップリングの外周面と端面を基準にして行ない、弾性ゴム接手などを介して連結するものは、外周振れ及び端面振れ共に0.1mm以内に入るよう調整しなければならない。またリジッド式の場合は、両方共に0.05mm以内に入るように芯出し調整しなければならない。
舶用主機の芯出しは、陸芯で合わせ進水後、1昼夜程度の間を置き、船体が浮力で塑性変形が落ち着いた頃に再度浮き芯の調整をしなければならない。特にプロペラと機関の距離が遠く、中間軸を設ける船の場合は、浮芯調整を必ず行なわなければならない。
芯出し不良の場合は、円滑な伝動が出来なくなり、振動を発生すると共に、軸受け摩耗や軸の曲がりなどを発生する原因となる。
2) 軸芯の狂い
(1) 軸受け摩耗
a) クランク軸受けメタルの摩耗
ジャーナルメタルの摩耗が大きくなると、燃焼ガス圧力により、ピストンが押し下げられた時の大きな衝撃力を受け、曲げ力が働くと共に、軸受け荷重が過大となり、振動や焼付き、軸芯狂いの原因となる。
b) 発電機軸受けの摩耗
ロータが振り回されて、衝撃力により振動を発生すると共に、発電機のロータとステータが衝突して、破損する。また軸芯狂いの原因となる。
c) 減速機軸受けの摩耗
一般にプロペラの推力軸受けをかねており、テーパローラベアリングが用いられている。これが摩耗すると減速軸の軸芯が下がり、軸系の芯狂いを生じると共に、減速歯車の噛み合いバックラッシュが大巾に増加し、騒音を発生する。
d) 中間軸受け摩耗
軸受けが摩耗すると、軸が振られ回転するため衝撃力を生じて、振動する共に軸芯狂いを助長し、減速軸受けやプロペラ軸受けの摩耗を促進する。
e) プロペラ軸受けの摩耗
スターンチューブの支面材が摩耗すると、プロペラによる旋回運動で、さらに摩耗が助長される。過大なスキマを生じ軸が振られて回転するので軸が支面材に衝突して振動を発生し、軸の曲がりを起こす。
(2) ボルトナットの弛み
機関台や据付ベースなどの、締付ボルトナットなどが弛むと振動が発生する。小型船の木製機関台の場合、敷板が薄く弱い時や、裏側の座金が小さい時などは、木材部は面圧に屈して凹みを生じ、弛み易くなるので、特に注意しなければならない。