4] 摺動部のスカッフ
ピストンライナ、軸受けなどに軽微な焼付きを生じている場合は、発熱により油温が上昇し、オーバヒートを起すことがある。その分だけ摩擦損失が増加するので出力低下となる。油温が上昇すると油圧も低下するので、直ちに運転停止して、ハンドクランキングできるか否か点検しなければならない。
5] クラッチ板のスリップ
摩擦による発熱で潤滑油温度が上昇し、オーバヒートを起し、油圧が低下する。油圧クラッチ減速機の潤滑油温度は、トロール弁や定速弁操作による場合でも、最高80℃までの範囲で使用することが重要である。
(6) 噴射タイミングの遅れ
燃料噴射タイミングが遅れると、あと燃えが多くなり燃焼温度が上がり、排気温度も上昇するので、オーバヒートを起すことがある。
(7) オーバロード長時間運転
過負荷運転を長時間連続して行うと、オーバヒートを起こすので、過負荷運転は最長でも連続1時間以内に止めるようにしなければならない。
6) ガバナ故障
(1) ガバナスプリングのへたり
バネ力が減衰してくると、フライウエイトとのバランスが崩れるので、コントロールラックの移動量が少なくなり、噴射量が不足する。従って出力低下となる。
スプリングを交換するか、シム調整するか、アジャスティングスクリュにて、ガバナの種類に応じて適当に修正をしなければならない。
(2) オイルフィルタの詰まり
専用フィルタが設けられており、エレメントが目詰まりすると、油量が不足して油圧が低下するので、出力が低下する。フィルタは定期的に点検清掃すると共に、エレメントを交換しなければならない。
(3) リリーフ弁の膠着
リリーフ弁からのリーク量が多い状態で、スティックすると、油量不足となり油圧が低下するので、出力が減少する。リリーフ弁の分解修理が必要となる。
(4) ガバナの調整不良
ガバナは機関の出力及び回転速度をコントロールする重要な機能を持っている。スモークセットや高速ストッパ位置、及びトルクスプリングやアダプタスプリング力などは、全て動力計により所要の性能スペックに合せて調整し、通常は、これら調整をむやみにできぬように封印をして工場から出荷されている。