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1) 燃料系統の不良

(1) 燃料油の選択ミス

機関の使用に合わない燃料を用いると、濾器詰まりを生じ、燃料が十分送油できなくなり出力低下する。取扱不良などで、水分含有量の多い燃料油を用いたり、粘度の高い燃料油を用いたりすると、出力低下する。

(2) 燃料閉塞

配管径が細過ぎたり、濾器などが詰まりを生じていると、十分な量の燃料が供給できなくなり、出力が低下する。

(3) フィードポンプ不良

ピストン、バルブ、カム山などが摩耗すると吐出量が大巾に減少して、供給量が不足し出力が低下する。

a) フィードポンプの判定テスト要領

ア) 油密テスト

吐出口を閉塞し、吸入口から約0.2MPa(2.0kgf/cm2)の空気圧を加え、軽油の中へ入れて空気もれのないことを確認する。プッシュロッドと本体からもれる小さな気泡は50cc/min以下であれば良い。

イ) 吸上げテスト

フィードポンプを噴射ポンプに取付け、内部の燃料を全部排出したあと、吸入口に内径8mm、長さ2mのパイプを取付け、燃料油面をフィードポンプから1m下げて次のテストを行なう。

・ 手動吸上げテスト

プライミングポンプを約60回/minの速度で作動した時に、30ストローク以内に、吸上げ吐出すれば良い。

・ 吸上げ能力テスト

1,500min-1の回転で40秒間以内に吸上げ吐出すれば良い。

・ 吐出圧力テスト

吐出側を閉塞して、枝管を設けて、そこへ圧力計(0.5MPa(5.1kgf/cm2))を取付け、噴射ポンプを600min-1で回した時に、吐出圧力が0.18〜0.22MPa(1.8〜2.2kgf/cm2)以上になれば良い。

・ 吐出量テスト

1,000min-1で回した時に、送油量が規定量以上あれば良い。

(4) 噴射タイミング不良

噴射タイミングは、各部の摩耗などにより徐々に狂いを生じている。特に燃料カム山及びタペットの摩耗は大巾な狂いを生じると同時に、リフト量が小さくなるので、大きく出力が低下する。

 

 

 

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