整備後の運転では負荷を連続最大出力の1/4、2/4、3/4及び常用出力(機関長等との協議によって決定するのが良い)として運転する。特に、機関が稼動後長年月を経ている場合やシリンダライナ・ピストンを新替えした時には、顧客の要望があっても高負荷を掛けるのは避けること。何れの場合も、回転数は連続最大出力に対する出力比の3乗根に比例して変化させる。
例えば、1,000kW(1,360PS)×380min-1(rpm)の機関の1/4、2/4、3/4、4/4連続最大出力の各計測点の出力と回転数を計算すると、次のとおりとなる。縦軸に出力、横軸に回転数の平面上にこれらの点をプロットすると、5・30図舶用特性曲線(160頁)となる。

また、この時に前頁で説明したL=0.9744mのブレーキアームを持った水動力計を使用したとすれば、水動力計に掛ける荷重は次の如く計算される。
Pe(出力)=n(回転数)×W(荷重)/1,000より
W=Pe×1,000/nとなる。
1/4(25%)負荷時 荷重W= 250×1,000/239.4=1,044kg
2/4(50%) 〃 〃 W= 500×1,000/301.6=1,658kg
3/4(75%) 〃 〃 W= 750×1,000/345.3=2,172kg
4/4(100%) 〃 〃 W=1,O00×1,000/380.0=2,632kg
(3) 試運転及び注意事項
1] 水動力計に通水をせずに機関を低速で運転をして、内部から異音の発生がないかチェックすると共に、調速機、燃料ポンプ、吸排気弁駆動装置や機付き各ポンプ類の軸受け等に発熱がないか手で触れてチェックする。
2] 25%程度の負荷で10分ほど運転をしてから、クランク室のドアを開けてピストン、クランクピン軸受、主軸受等手で触れて発熱状態をチェックする。
3] 負荷を50%→75%と30分程度をかけ少しずつ上昇して行くが、まず回転数を上げてから水動力計の荷重を徐々に上げて行く。特に、シリンダライナ新替後はピストンリングとのナジミを付けるために注意をして負荷をゆっくりと時間をかけ増加させると同時に、シリンダ注油のある機関は20%程度増量する。