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3) バナジウム・ナトリウム

バナジウムとナトリウムは燃焼中に酸化され、酸化バナジウム(V2O5)や酸化ナトリウム(Na2O)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)などを形成する。これらの生成物はお互いに反応して低融点の塩を生成し、ピストン、排気弁や過給機に付着する。この溶融塩は排気弁等の表面の保護酸化膜を溶かし、腐食を促進する。これがいわゆる高温腐食と呼ばれるものである。

またバナジウムとナトリウムの酸化物の比率により溶融塩の融点が変化し、最も低い場合は300℃近辺にまで低下する(4・1図)。融点の低下を避けるためにバナジウムに対するナトリウムの比率は元素比で1/3以下にしておく必要がある。

 

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4・1図 V2O5-Na2SO4混合物の融点

 

4) FCC油(Fluid Catalytic Cracking)

FCC油には分解精製過程で使用される触媒粒子のシリカーアルミナが残存している。

このFCC油をディーゼル機関の燃料油として使用すると、次のような障害が発生することがある。

1] 燃料噴射ポンプ・プランジャの早期摩耗

2] ピストンリング・シリンダライナの早期摩耗

これらの早期摩耗の進行の結果として派生的に以下の3]〜7]の状況を引き起こす。

3] 燃焼ガスのブローバイの増加と潤滑油早期汚損

4] 潤滑油消費量の異常増加

5] 主軸受メタルやクランクピンメタル等の早期摩耗

6] 燃焼不良や機関性能低下

7] その他

5) ハイカロリA重油

近年、軽質油と重質油の需給バランスの関係から、灯油、分解軽油、ビスブロークン軽油等がA重油の基材として使用され出しており、A重油の品質が変化している。

 

 

 

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