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4) 水分

水分は清水であれば燃焼に対する障害とはならないが、噴射系部品の発錆等の問題が起こる。また、高粘度油で加熱を要する場合ベーパロックが起こる危険性がある。特に、海水の場合はNa分による過給機等への堆積物が増加する等の問題がある。

5) 硫黄(S)

硫黄の含有量は、ほぼ、原油の種類(産地)により決まる。燃料油に高分子炭化水素の化合物として存在するため、遠心清浄機でも殆ど除去できない。

硫黄分は、次のようにして硫酸を生成して各部に腐食を起こす。

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6) バナジウム(V)

バナジウム(V)は排気弁等の高温腐食(バナジウムアタック)の原因になると言われている。

7) ナトリウム(Na)

ナトリウム(Na)はデポジット付着(バナジン酸ナトリウム)の原因となる。

8) アスファルテン

高アスファルテンの燃料は難然性であり排気温度上昇、スモーク増大、部品の温度上昇につながる。

9) 着火性

着火性はセタン価・セタン指数やディーゼル指数で表される。

セタン価はCFRセタン価測定用機関(F-5)を用いて測定するので比較的容易でなく、またC重油の測定は困難である。セタン指数はAPI比重と平均沸点から計算してセタン価を推定するが、残さ油を多く含むB重油以上では計測できない。

ディーゼル指数はAPI比重とアニリン点から計算してセタン価を推定するが、燃料の種類によって計測精度が低く着火性指標としては不適当な場合も起こる。これに対し、CCAIという指標は燃料油中に含まれる芳香族性を表し着火遅れとの相関が高いので、最近よく使われるようになった。

 

1.3 燃料油の性状に関する障害

1) 軽油

軽油の中でも、特に粘度の低いものを使用すると、プランジャとバレル間の潤滑性が悪くなって、スティックが発生する。

2) 密度・発熱量

工場試運転時、ラックストッパをセットするが、工場使用燃料油と実際に使用する燃料油の密度・発熱量が違うと機関のオーバロードや負荷が掛からないといった障害が発生することがある。

 

 

 

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