この電気腐食(電食)作用は、シリンダおよびライナの冷却面のみでなく、水中に浸されたプロペラと船体や水の管系などにも生ずる。
たとえば、銅と鉄のような異種金属どうしが、電流を通すことのできる海水中に接近しておかれて他部で接合している場合、液中では鉄から銅へ、外部では銅から鉄の方へ電流が流れて、鉄の活性部分が鉄イオンとなって、水中に溶け出し、水中の酸素と化合して水酸化物になる(3・1図)。
すなわち活性部分は局部陽極となり腐食する。また、3・2図のように同種金属の鉄どうしを海水中に浸した場合にも、2枚の鉄板に温度差があるとか、囲の水の流速が違っていたり、内部ひずみによる応力の有無または一方のみに気ほうが吹き付けられるとかなどで、状態が異なるときにも流電作用により陽極部が腐食する。要するに電気腐食は多数の局部電池が構成され、その電池の(+)から(-)へ電流を生じて陽極部が溶解することによって進行するものであるから、鉄部の局部陽極を陰極にして局部電池を解消することが大切である。
このような電食を防止するには次のように3つの方法がある。