5. モデルゾーンの検討
−堀川用水沿いゾーン計画−
(1) 全体構想におけるモデルゾーンの位置付け
前項のエコミュージアムの実践に向けた各アクションプログラムの展開においては、今後の検討の中で、具体的な整備年次(事業着手年次)等を検討し、ハードウエアの整備とソフトウエアの実施をバランスよく連携させ、課題解決に向けた取り組みを推進していく必要がある。
これに先立ち、朝倉エコミュージアムを推進するための4つのゾーンのうち、「堀川用水沿いの交流ゾーン」に関しては、賑わいのある「交流・物販エリア」と昔ながらの風情を保った「保全エリア」という異なる二つのエリアを内包しなければならない。この二つの異なるエリアを「堀川用水沿いの交流ゾーン」の空間構成の中でどのように機能配置するか等について、エリアの分離、或いは連携等を視野に入れた計画を必要とするなど、実施に向けた難しさを伴っている。
それ以外にも「堀川用水沿いの交流ゾーン」は、全体構想において以下の位置付けを担っている。
「堀川用水沿いの交流ゾーン」のモデルゾーンとしての位置付け
○中世以降の産業・文化といった歴史の中枢であり、水車が実働する産業遺産としての魅力を持っているだけでなく、町外、県外の人々にも広く知られている対外的な象徴要素でありながら、「町には何も無い」「誇れるべきものはない」と考える町民との間のギャップを埋める場としての役割。
○来訪者との対外的な交流を起爆剤に、町民自身が様々な活動機会を見出し、朝倉町を見つめ直すきっかけとする場。
○町民の多様な活動、成功体験を他ゾーンヘ拡大する役割。
○筑後川流域市町村の広域連携による観光開発において、シンボルとなり得る水車周辺においての整備を望む声が大きく、流域全体の中での拠点としての位置付け。
このように、「堀川用水沿いの交流ゾーン」をモデルゾーンとして位置付け、具体的な空間構成を提言する必要性は高く、次年度以降の具体的な計画作業において「計画条件」となり得るサイトプラン(施設や空間の大まかな配置や構成、各施設や空間内に盛り込む諸機能の設定等)を先行的に提案し、早い時期の事業実施に向けた足掛かりとしたい。