4. 地形を切り口にした分析と農村景観の特徴
ここまで、本町には実に様々な地形パターンが存在することを検証し、平野部と台地・山地部の2ブロックに分割した。更に、平野部に関しては、空間スケールや標高などの違いから3つのグループに分類した。これら多くのバリエーションを持つ朝倉の地形条件は、他に例の少ない独自の特徴といえ、本町の農村景観を支える重要な土台である。しかし、それだけが本町の農村景観の魅力を増幅している要素かというと、どうやらそれだけではないということも明確になってきた。
これまでの考察にあった「農産物を中心とした土地利用」、「居住エリアの分布」、「歴史的遺産の立地」などの諸要素が、本町の地形条件と密接な関係を持っているということで、全てが地形という土台のもとに合理的に成立しているということである。
本項では、先に報告した諸要素と地形との関わりを検証すべく、重図的な手法を実行してみる。
(1) 農業的土地利用と地形の関係
第2章3項の図2-5で主要農作物別の土地利用をプロットした。そこに第2章2項で分類したグループ分類を重ね合わせると、地形条件によるグループ分類と農業的土地利用は全く一致し、それぞれの地形条件に適した農産物の生産が行われていることがわかる(図2-7)。