日本財団 図書館


(2) 水車付近から見た町の風景

1] 水車付近から南側の風景

前項にて、水車のごく周辺ではなく、町域全体を捉えたマクロ的な視点で風景を観察する必要性については触れたが、本項では具体的に水車付近から見た本町の風景を観察する。

○水車から南側の状況(写真2-4)

・田主丸町方面の耳納山脈まで広がりある風景が続く。

・空間スケールは、耳納山脈の山裾まで直線距離で約5km、山頂のスカイライン(注)まで約8km。

・視点場となる水車周辺と耳納山脈の標高差が約800mとなり、水車周辺から耳納山脈を望む視軸は、仰角3度程度しかない。

030-1.gif

樋口忠彦著「景観の構造」によると、仰角5度未満の低仰角の山の場合、スカイラインが視覚的に卓越した重要性を持つとされている。視野的には空と前景が大部分を占め、風景は散漫化すると共に、山は手前の障害物で容易に見えなくなるとされ、このような低仰角の山を生かすための手法の検討が必要とされている。

○景観整備時の留意点

・対象地の場合は、手前に筑後川の堤防が位置し、適当な高さの見切り線として働いており、適度な囲まれ感を演出するのに有効に働いている。これが無い場合を想定すると、非常にだだっ広い、散漫な風景イメージとなる可能性が高い。

・景観整備時の留意点として、水車周辺において山への眺望を遮蔽するような建造物、あるいは構造物等の誘導をコントロールする必要性が高い。

 

写真2-4 水車付近から南側の風景

030-2.gif

(注)スカイライン:

大地や建物などによって仕切られた空の輪郭線。本町の場合、耳納山脈の稜線と背景の空の輪郭線をいう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION