後期としてとらえられるバブル崩壊後は、日本人の実状に即した観光・リゾート振興に目が向けられており、まだ後遺症はあるものの今後は安定成長期をベースとした「日本型観光・リゾートの時代」とみる。その展開は「地域の光を観(しめ)す観光と日本型リゾートの時代」といい換えてもよいであろう。
宿泊観光レクリエーションの参加率の推移をみると、平成6年度調査以降減少しているが、全体を通してみるとほぼ横這いである。また、宿泊観光レクリエーションの参加回数を見ても、平成6年度調査以降減少しており、観光地は非常に厳しい時代を迎えているといえるが、全体を通じてみると多少ではあるが増加している。
「観光」の本義に「みる」と「しめす」の意味があるといわれるが、今日以降の観光は「素材観光から地域観光へ」といわれるように、「単体資源の面白さとともに、それを、守り育てる地域の人々のまちづくりの価値観や広い意味で地域の生活文化の所産が観光対象となる」ところまで観光ニーズが成熟してきたことを意味する。
すなわち、「地域の光」とは「地域の生活文化(個性)」であり、これを発信することが「観(しめ)す」意味である。そして「観(しめ)された地域の魅力に観光客が来訪し、「観る(参加・体験・交流)」という図式が今後の観光振興をとらえる基本的な視点である。
2] 今後の観光・リゾート需要の展望
21世紀初頭の観光・リゾート需要の発生は「休暇制度」の拡充が大きく効くとみられる。それを展望すると、「完全週休2日制と四季一週間程度の“日本型バカンス”の定着」が窺え、ハッピーマンデーの推進による3連休づくりの流れとともに2、3泊の「週休リゾート」需要と1週間程度の「四季リゾート」需要の台頭が予想される。
総需要の伸びについては定説はないが、国内観光・リゾートの総需要では、2010年頃に現在の1.3倍内外の伸びと考えられ、観光地サイドから見ると伸びが小さいことから競合の激化が予想される。
「観光(サイトシーイング)」と「リゾート」はその意義が異なるので、相応に伸びると予想されるが、週休休暇の拡大に有給休暇の連続利用を加えると、リピートタイプで、2〜3泊程度の週休リゾートの台頭が予測される。
それにより、滞在地と周辺の周遊観光地が連携する利用パターンの増大(リゾート拠点を基地とした観光圏=リゾート生活圏の形成)が予測される。