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(2) リゾートの動向と展望

1] 観光・リゾートの今日的な位置

我が国に真の大衆観光の時代が到来したのは昭和20年以降(戦後)である。戦後観光の流れを社会経済環境の変化と対応させると4期に区分できる。

 

I. 気晴らしの時代(戦災復興期、昭和20年代)

II. 画一観光の時代(高度経済成長期、昭和30〜48年石油危機まで)

III. 個性観光の時代(低成長経済期、石油危機〜昭和50年代)

IV. 国際観光とリゾートの時代(構造再編期、昭和60年〜現在)

■前期(バブル期):大規模リゾートの時代

■後期(ポストバブル期):“地域の光を観(しめ)す”観光と日本型リゾートの時代

出典:阿比留勝利、地域政策研究平成12年度11号「ツーリズムの流れを読む」

 

観光・リゾート需要の3大発生要因は「生活意識(意識)」、「可処分所得(金)」、「自由時間(暇)」といわれ、その顕在化に観光地の存在が大きく影響する。

I期は戦災復興期で意識、金、暇ともになく、せいぜい日常の「気晴らし」が中心の時代であった。

II期は高度経済成長で少し豊かになり、意識とともに金、暇が少しでき、浅い観光経験の中で画一的な団体旅行に参加し、一生に一度はみておくべき富士山、日光といった一級資源を周遊し、温泉地に宿泊して宴会を行った時代。この時期に、大阪万博があり、延べ6千万人以上の入場者を記録。延べ数ではあるが、一億人の人口の6割近くが一通りの観光経験を得た時代であった。

III期は石油危機以降の低成長期で、遊びたいが暇と金が今一つ、といった状況で、“安・近・短”という言葉が流行。自家用車中心での家族旅行が台頭、徐々に需要が成熟化した。個性的な観光を求める小グループ旅行の台頭もこの時期の特徴となっている。

そして、IV期は昭和60年のプラザ合意による「円高ドル安」の中で、我が国が国際舞台での経済大国としての活動を開始、内需拡大策としてリゾート法が成立した時期である。

IV期の前期は、内需振興の流れの中でリゾートブームとなり、民活・大規模不動産投資型のリゾート開発に狂奔した時期であった。円高を背景に国際観光(アウトバウンド)が進み、観光のキャリアのアップに貢献したが、自由時間が増大せず、バブルも崩壊し、逆に農山漁村を活かしたグリーン・ツーリズムが台頭してきた。

 

 

 

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