〔参考条項〕
○政府調達協定第1条第3項
機関が、付属書1に掲げられていない企業に対し、この協定の適用を受ける調達に関連して当該企業が締結する契約について特定の要件に従ったものであることを求める場合には、当該要件について第3条の規定が準用される。
○政府調達協定第3条第1項
各締約国は、法令、手続及び慣行であってこの協定の適用を受ける政府調達に係るものについて、他の締約国の産品及びサービスに対し並びに他の締約国の供給者であって締約国の産品及びサービスを提供するものに対し、即時にかつ無条件で、次の待遇よりも不利でない待遇を与える。
(a)国内の産品、サービス及び供給者に与えられる待遇
(b)当該他の締約国以外の締約国の産品、サービス及び供給者に与えられる待遇
イ 協定第6条にかかる事例(D県の事例)
〔概要〕
D県は、情報システムの統合化、高度化、共有化を基本方針として、情報システム整備工事を行うための一般競争入札を実施し、落札者を決定したが、その後、当該入札の入札説明書等において、落札業者が国内独占販売権を持っているソフトウェア名が明記されていることが発覚した。
そこで、D県は、県議会に提出していた工事請負契約の締結議案を撤回し、落札業者との仮契約を解除し、特定商標を記載しないよう入札説明書等を作成し直し、再度入札を実施した。
〔問題の所在〕
本件の入札説明書等においては、特定の商標が明記され、しかも「又はこれと同等のもの」というような文言が付されていないことから、政府調達協定第6条第3項との関係で問題が指摘された。
〔参考条項〕
○政府調達協定第6条第3項
入札説明書においては、調達に当たって適合することを要求する要件として商標、商号、特許、デザイン若しくは型式又は産地、生産者若しくは供給者を特定してはならず、当該要件の説明においてこれらに言及してはならない。ただし、これらを用いなければ十分に明確な又は理解しやすい当該要件の説明を行うことができない場合にその説明において「又はこれと同等のもの」というような文言をこれらに付すときは、この限りではない。
ウ 協定第8条にかかる事例(D・J・K県を除くすべての事例)
〔概要〕
G県は、県庁舎の建設工事を行うため、一般競争入札の公告を行い、その入札参加資格として経営事項審査点数(7)が1,500点以上あることを要求したところ、外国政府から当該入札参加資格は、事実上の外国企業排除であるとして、中央省庁と同等の水準まで入札参加資格を引き下げるよう要望が寄せられた。
そこで、G県は、当該要望を契機として検討を行い、入札参加資格として要求する経営事項審査点数を中央省庁と同等の水準である1,250点まで引き下げて入札公告をやり直した。
〔問題の所在〕
本事例の場合、入札参加資格として経営事項審査点数を1,500点以上としているが、その工事内容からみて必要以上に高い設定となっている可能性があるため、政府調達協定第8条(b)との関係で問題が指摘された。
協定第8条(b)との関係では、入札参加資格の設定が当該調達案件の契約履行能力の確保に不可欠な要件であることを、客観的かつ合理的に説明することができれば問題は生じない。しかし、この種の建設サービスの調達において、主な中央省庁が一般競争入札参加資格認定の際に定める客観点数では、1,250点を上回る条件の設定は行われていないことから、1,250点を上回る経営事項審査点数の条件設定が不可欠な要件であることを、専門技術的な観点から合理的に説明することは一般に難しい場合が多いと思われる。