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前述のとおり、発生主義決算を導入したとしても、こうした財政運営のあり方が変更されるかどうかは一概には言えないが、情報が開示されることにより処理が促される効果はある程度期待できる。また、各種の財政指標に反映させることになれば、一層の効果が期待できる。

 

(3) 発生主義決算書のもたらすべき情報

発生主義決算書がもたらすべき情報として、地方公共団体が住民にもたらしている満足度の金銭換算額が挙げられることがあるが、この金銭換算をあらゆる資産について行うことには多大な労力が必要とされることから、むしろ事業評価の一形態として、そうした分析に馴染み、かつ分析の必要性の高い事業について行うことが有効ではないかと考えられる。

このため、ここでは、発生主義決算書がもたらすべき情報は、地方公共団体のストックを含めた財政状況を分析するための情報として捉えることとする(なお、「2. バランスシート」も同様の考えに立っている。)。

こうした考え方に基づく決算書の一例として三重県の場合を取り上げると以下のとおりである(「経常会計」とは企業会計でいう損益計算書に当たるものであり、「建設会計」は投資的経費や地方債の元本償還の資金調達表に当たる。)。

 

図表5-1 経常会計と建設会計の関係

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