5 官民の役割分担の決定主体
公営企業の設置・廃止、予算等は地方公共団体の主権者である住民が選挙を通じて選出した首長、議会により決定される。また、公営企業のサービス提供の相手方は住民である。すなわち、住民には、公営企業の設置権者という面と、サービスの受益者という面を有している。
公営企業を民営化するのか、それとも公営企業を維持するのか等の判断は、この両方の立場に立つ住民が行うことが必要であり、地方分権の流れの中で、住民による意思決定の仕組みをつくっていかなければならない。
そのためには、住民に対して、意思決定のための情報を提供することが重要であり、特に公営企業の仕組みがどうなっているのかを周知することが必要だと思われる。たとえば下水道事業に関しては、とかく使用料を安くすべきという話になりがちであるが、使用料で回収できない分は実際には一般会計からの繰出、すなわち税金で穴埋めをしなければならないということを十分に説明した上で、使用料の設定をどうするか、あるいは下水道ではなく合併処理浄化槽を採用すべきではないか等について、十分な情報を提示し、住民が判断を行うようなスキームを構築していく必要があると考えられる。