(3) 民間経営管理手法の導入の手段
地方公共団体の情報化については、民間経営管理手法の導入の手段として活用する視点も求められよう。
地方公共団体の使命が公共の福祉の増進にある以上、地方公共団体には住民の利便を先ず第一に考える行政運営手法が求められる。民間経営管理手法で言うところの、CS(Customer Satisfaction)やCRM(Customer Relationship Management)である。これを行政に置き換えれば、住民の意向を正確に把握し、それに見合う形で行政サービスを提供し、便益を高めていくという管理手法であると言えよう。これを導入するときに非常に便利な手段としてITを駆使していくことが求められるのである。具体的には、手軽にいつでも情報にアクセスし情報を入手できるというITの持つ長所を十分に活用する一方で、個人情報保護の必要性等に配慮して、情報化を進めていくことが求められていると言えよう。
情報化を、民間経営管理手法導入の手段と考えるもう一つの視点としては、情報を知識として共有していくことが挙げられよう。Knowledge Managementと言われるものである。行政においては、各省庁、各地方公共団体、各部局で生み出された知識やノウハウを情報化を利用して共有することが求められよう。これは、行政事務処理を大いに効率化する可能性を秘めている。各職員が知識やノウハウを情報として発信する手間が非常にかかるのではないかという問題や、情報として蓄積された知識やノウハウをいかに体系立てて保存し、容易に活用できるようにするのかといった課題に取り組み、Knowledge Managementの効果を図ることが必要である。