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(2) まちづくり分野

 

ア まちづくり分野における公民協働のための制度

まちづくりに当たっては、実際にそこに住む住民の意見を反映させ、住民の納得を得られる計画とすることが不可欠である。このため、まちづくりに当たって住民の意見を反映させるための制度が設けられており、その中には、NPO等が参加した住民組織を設置する例も見られる。

(ア) 法令

国土利用計画法や都市計画法等の法令には住民等の意見聴取等に係る規定が置かれているが、その具体的方法については公聴会の開催等としか定められておらず、住民組織に関する定めはない。

(イ) まちづくり条例

地域のまちづくりを住民合意のもとに進め、必要な事業や実践活動を展開していくことを目的として、地域住民や自治会などの代表のほか、専門家やNPOなども参加した「まちづくり協議会」という住民組織の仕組みを設け、地域のまちづくりの課題を議論した上で計画の作成を行ったり、一般住民のまちづくり学習や情報交換・意識啓発を行う事例が見られる。

 

イ まちづくり分野における公民協働に係る課題

(ア) まちづくり協議会の法令上の権限

まちづくり協議会の提案等は、地域の総意を反映したものとして地方公共団体の意思決定プロセスにおいて尊重されるべきであるが、都市計画に関しては、地方公共団体独自の条例に基づき設置された協議会の決定を直ちに反映できる仕組みとはなっていない。

(イ) 地域住民の「総意」の把握

まちづくり協議会は、地域住民全員を会員とするものと自由意思での参加を前提に応募者を会員とするものがあるが、後者が一般的である。後者の場合、地域住民に等しく参加の機会が開かれていても、実際には一部の者に限定された組織であるため、会の決定も地域住民の総意であるとは直ちには言えないことから、非会員の意思反映のため、アンケートの実施を行う等、様々な方法で取り組む必要がある。

(ウ) 協議会としての意思決定の要件に関する問題

協議会の意思決定に際し、例えば、地域住民の一定数以上の署名があることを要件とするようなことは、協議会による発案の自由度を狭める制約となる恐れがあるが、かといって、逆に、協議会の意思決定に何らかの拘束力を持たせた(=協議会の意思決定に住民同意が不要)場合は、少数意見の的確な反映が課題となってくる。さらに、少数意見も尊重し、会員全員の合意を要件とするとなると、事実上、拒否権を与えたこととなり、意見が分かれた事項については、実質的に決定できない恐れも考えられる。

 

 

 

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