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2] 租税負担率と地方税のシェアの国際比較

租税負担率と地方税のシェアの国際比較を行ってみると、各国は大きく3つのグループに分けることができる。

まず

(イ) 連邦国家では、租税負担率に関わりなく地方税のシェアが高い。

(ロ) 単一国家には2つの傾向があり、

(i) 分権型単一国家では租税負担率が高まる、すなわち政府の役割が高まるにつれて地方税のシェアが高くなっている。

(ii) 集権型単一国家でも、同様に租税負担率と地方税のシェアの間にに右肩上がりの関係がある。

日本は、一見、租税負担率が低い割には地方税のシェアが高く、3つのグループのいずれからも離れた傾向を示しているが、地方歳出の割合の高さを考慮する必要があるし、また、潜在的な租税負担率で比較すれば、分権型単一国家の回帰線に近づくのではないかと考えられる。この点については、なお精査が必要である。

 

(3) 従来の税制改革における国税と地方税

1] 従来の税制改革の分析

過去の税制改革では、個人の勤労意欲や消費行動、法人の国際競争力など、税制が経済社会に与える影響を考慮し、公平・中立・簡素といった租税の一般原則に基づいて、直間比率の是正、消費課税改革、法人課税改革などの個人・法人の負担構造を適正化するための改革が行われてきた。したがって、国税と地方税を区別することなく議論され、実行されてきたが、累進性の高い所得税や、消費の実態に合わなくなった複雑な個別物品税など、改革すべき税目が国税に多かったために、結果的には、税制改革の焦点が国税に偏ってきたとの見方が可能である。

また、過去の税制改革では、増税の時は国税・地方税両方とも増税になり、いわばその果実を山分けにし、減税の時は両方減税になり、いわば痛みを分かちあうことが多かった。そして、増税の時には地方税の方が増収割合が低いためにシェアが低下し、減税の時には地方税の方が減収割合が低いためにシェアが増加する傾向があった。

 

 

 

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