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エ 既存小売商業の維持、活性化

都心やその周辺部で古くから営まれてきた商業の相対的な地位が低下する中で、高齢化の進行に伴い、商業をはじめとする各種都市サービスが身近に提供される生活の場の確保が、より強く求められる。

オ 環境への負荷の少ない都市への移行

環境低負荷型の都市への転換に向け、市街地の拡大を抑制して土地の高度利用を図ることにより、通勤距離の短縮、公共交通機関の利用率向上、共同住宅化による消費エネルギー効率や除排雪効率の向上を促進し、エネルギー消費の抑制を図る必要がある。

 

(2) 具体化のための施策

札幌では、業務施設による住宅の駆逐、あるいは衰退地区の面的な広がりといった、人口移動に関連する顕著な都市問題が生じなかったこともあり、住宅付置義務、家賃補助といった強力な居住促進策を講じてはいない。むしろ誘導的に、あるいは局地的な面的整備事業により、可能な範囲で居住人口の回復を図ってきたと言える。

その具体例を次に紹介する。

 

1] 容積率規制の緩和

第4次長期総合計画の策定とは相前後するが、平成8年3月の新用途地域(8種から12種への指定替え)の決定に伴って、容積率300%の指定区域を大幅に拡大(744ha→1,696ha)した。その対象は、図-7に示す高度利用住宅地の内、幹線道路の沿道で路線状に準住居地域や近隣商業地域を指定する区域である。

この区域では、共同住宅は許容容積率(200%)とほぼ同程度(たとえば199.8%など)の規模で建築されているのに対して、商業業務施設等は100%前後の容積で建築されるという傾向があった。このため、容積率規制が主として共同住宅の建築規模を規定していることとなり、許容容積率を緩和することにより、住宅供給の増加に結び付くものと判断したのである。

その直接的な効果は未だ検証していないし、またこのことが直接的に奏効したものと単純に結び付けているものではないが、ここ数年の傾向としては、都心周辺部において共同住宅の建設が盛んであり、それに伴って人口が増加傾向に転じている。

 

 

 

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