3 これからの都心居住政策
東京では、過去において急速に人口が増加したため、市街地が無秩序に広がってしまった。そのため、通勤・通学の遠距離化が進み、都心3区へ片道1時間30分以上かけて通勤・通学する人が4分の1近くに達し、鉄道のピーク時混雑率は、東京圏の主要31区間のうち8区間で200%を越えている。
一方でバブルの崩壊に伴い都心部では、十分に活用されない土地の発生や、人口減少によるコミュニティの崩壊等の新たな問題が生じた。
しかし、今後の東京の人口は減少に転じることが確実であり、社会資本の量の拡大でなく、都市を改善し東京における生活の質の豊かさを向上させていくことが求められる。
こうした市街地の無秩序な拡大で生じた各種のゆがみを是正し、職住の近接等により東京の都市構造の転換を図っていく。
(1) センター・コア・エリアで重点的に推進
都心居住施策はこれまでも行われてきたが、職住比が改善しない理由の一つとして、環状6号線の内側では3階以下の建物が占める割合が6割であるという実態に現れているように、都心部及びその周辺地域の都市空間が効率的に利用されていないことがあげられる。
この地域は、公共交通機関が高水準に整備されるなど、交通の利便性が高い地域であり、本来高密度に活用されるべきでもあるにもかかわらず、細街路の存在や敷地規模が小さいことなどにより、建物の高さが抑えられて土地が友好に活用されていない。
そこで、首都高速中央環状線内側のセンター・コア・エリアを都心居住を重点的に推進する地域とし、土地の有効・高度利用を図りながら、都市居住を戦略的に推進する(図表11)。