このように、都心居住の実現によって、都心部の利便性を享受したライフスタイルを提供することができるだけでなく、以下のように都市の活力を高めるためにも、都心居住の推進が必要である。
(1) 国際都市としての必要機能
国際的なビジネスセンターとして、東京はその地位が低下しつつあるとはいえ、依然として日本を代表する国際都市である。しかし、国際的な都市間競争が激化するなか、より優れた企業や人材を惹きつけるためには、都市には、働く、住む、遊ぶなどの複合的な機能を備えることが求められている。
外資系企業の東京への評価をみると、空港へのアクセスなどの「ビジネス環境」、交通網や通信網などの「オフィス環境」が比較的劣っており、特に住宅や物価などの「生活環境」での評価が他のどの都市よりも劣っている(図表6、7)。東京が国際ビジネスセンターとして、世界の企業や働く人びとに選ばれる都市となるためには、快適な居住環境を職場の近くに提供することが必要である。
*1 都心:ここでは、千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区の8区を指す。