III. 海外調査を踏まえた「観光まちづくりガイドブック」充実化の方向
1. 「観光まちづくり」の考え方について
オーストラリア、インドネシアどちらの国においても、「観光まちづくり」の考え方は共有できるという評価であった。特に、インドネシアの場合、同様の考え方をもって、活動しているNGOなどが既に存在している状況であった。
その意味で、考え方を整理して、世界に向けた情報発信を行うことは時宜にかなっていると考えられる。
■オーストラリア連邦政府のコメント
○「観光まちづくり」の考え方は、最近のオーストラリアにおける取り組み(regional tourism)と近いところがあり、大変、興味深いと思う。基本的に、ガイドブックで提起している考え方には、賛成である。
○ただし、オーストラリアでは、"Community Development"というと、通常、病院、スポーツ施設、スイミングプール、都市基盤など、社会開発に関する取り組みを思い起こさせる面がある。また、Commonwealth Governmentには、Regional Development Dep.が、ツーリズム部門と別に存在し、こちらは、農業、工業、サービス業など社会経済振興をより広範に担当している。「生活環境」「経済振興」というと、何故、ツーリズムが関係するのか、という受け止められ方をすることも考えられる。
■Queensland Tourismのコメント
○「観光」がまちづくりの一要素であるとする、「観光まちづくり」の考え方には、賛成。オーストラリアでも、大規模観光開発が行われた場合に、地元にとっての便益があまりない(大規模ホテル事業者などだけが利益を享受する)場合など共通した問題を抱えている。
■インドネシア政府のコメント
○大規模観光開発が地元に必ずしもメリットを産んでいない状況がある。また、近年、自治体への権限委譲を進めており、コミュニティをベースとした観光振興が課題である。その意味で、「観光まちづくり」の考え方は、共有できる。
■SuaBALI(NGO)
○同じ考え方のもとで行動している(パンフレットの概念がほぼ同じ)