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6. 今後の課題と示唆

 

1) 現地の視点からみた課題

○当面、国内観光を中心とした、地域レベルの観光開発(regional tourism development)が課題である。現在、国際観光は、全体の30%を占めるに過ぎない。70%が国内観光である。ただし、国際観光が年間7%の成長率を示しているの対して、国内観光は横ばいである。10年後には、国際観光の割合が40%に達するとの予測もある。

○個別の地域の観光振興を通じて、国際観光の受け皿も、シドニーなど大都市周辺だけでなく、より広い地域に拡大することが見通される(大都市以外の地域で、1泊以上宿泊する海外観光客は、ほとんどいないということが背景としてあげられている)。大都市以外の地域でも海外からの観光客を受け止めることができるようにするという方向で観光振興を実現するためにも、地方自治体のリーダーシップが重要である(この意味で「観光まちづくり」の考え方は参考になる)。

○実際問題として、地方(rural area)や農村地域(agricultural area)では、観光に対する抵抗感が根強いのも事実である。当然、過疎化が進む田園地域の再活性化は必要であるが、観光には抵抗感がある場合が多い。

○ワインツーリズムは、戦略的な取り組みのひとつである。実際、ワイン観光は、海外からの観光の約10%を占める。ただし、ワイン関連産業は、自分たちを観光関連産業としては、考えておらず、やりにくいところもある。

 

2) わが国への示唆

○「観光まちづくり」の概念の共有化は可能

・オーストラリアでは、地域のイニシアチブに基づく、Regional Tourismが振興されており、「観光まちづくり」の考え方は広域的に受け止められている。

 

○具体化に向けたマニュアル・事例集の整備

・Queensland州では、地域の事業化を促進するためのマニュアル、先進事例集などが用意されている。マニュアルの内容が充実しており、わが国でも次の段階の取り組み促進ツールとして作成を促進することが考えられる。

 

 

 

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