(2) キャンペラ地区におけるワインツーリズム
○位置と特徴
・キャンベラ地区におけるワイン産地は、オーストラリアの首都ACT(Australian Capital Teritorry)のBungendore/Lake George地区等3地区に分布している。
・ワイン畑の面積は、全体で500エーカーである。
・主なワイン生産者
―Doonkuna Estate
―Helm Wines
―Lark Hill
―Jeir Creek
―Brindabella Hills and Madew Wines
○沿革
・キャンベラでは、1970年代から80年代にかけて設立された家族経営による小規模なワイナリーが点在していた。
・こうしたキャンベラにおけるワイナリーは、自らを観光産業とは認識しておらず、知名度も極めて低かった。1994年に行われたシドニーのトラベルエージェントの調査によれば、キャンベラはワインツーリズムの目的地としては最下位であり、ワイナリーの来訪者のほぼ80%が、訪問するまでキャンベラでワイン生産を行っているとは知らなかったとされている。
・しかしながら、ワインツーリズムが新しい文化観光として注目を集める中で、CTEC(Canberra Tourism and Event Corporation)がそのマーケティング戦略を拡大した。
・1993年には、ワインツーリズムを担うNational Capital Wine Toursが設立された。
・1995年、州のツーリズム賞にワインツーリズムの項目が位置づけられた。
・1996年になって、ATC政府が観光戦略(Canberra Tourism 1996)を策定した。ここで初めて、対外的にキャンベラのワインがその魅力として取り上げられることとなった。
・1997年時点でキャンベラ地区には、19件のワイナリーがあり、500〜600tの葡萄から、約3万ダースのワインを生産している。
○気運の醸成と定着に向けた取り組み
◆生産者の統合化
・1993年に設立されたNational Capital Wine Toursが中心となって、ワインツーリズムの普及に向けて、ワイン関連生産者のネットワークの形成を推進した。
・ワイン生産者は、観光に対する関心がない場合が多かったが、次第に、ワインインダストリーは、観光関連の各種会議の一員となるようになっていった。
・また、CTECの積極的なプロモション活動の結果、ワインツーリズムの場としてのキャンベラ地区の存在感が高まった。