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○今回のヒアリング調査によれば、政権交代の結果、エコツーリズムなど持続可能性を重視した観光地づくりについては、継続されているものの前政権時から比べて、比重が軽くなったようである。

○また、連邦政府、州政府、地方政府の位置づけと役割によって、取り組みに差がある。持続可能性に配慮した観光地づくりは、主として連邦政府及び州政府によって対応されている。地方政府(市町村)は、土地利用のコントロールなどの権限は有するものの、観光地づくりという点では、プロモーションを中心とした取り組みが中心となっている。

 

5. 具体的な取り組みの内容

1) 国・州等の政策

(1) regional tourismの振興 ─国の取り組み─

○1996年に政権が交代して以来、政府の政策が大きく変わっている。連邦レベルの場合、前政権によって推進されたエコツーリズムについては、ほとんど先に進んでいない。エコツーリズムについての動きといえば、エコツーリズムアソシエーションからファンドをもらいながら、2002年の国連の会議に向けて準備を進めているぐらいである。

○エコツーリズムに代わって、力を入れられているのが、regional tourism、cultural tourismであり、コミュニティに係わっているテーマに力が入れられている。この一環として、アボリジニーなど、伝統文化ツーリズム(indigenous tourism)、ワインツーリズム、スポーツツーリズムなどいろいろな取り組みがある。ただし、こうした取り組みに向けての政策は現在、検討中の段階である。

○regional tourismは、観光を通じた地域の活性化をねらいとして、地域社会や地域産業の振興をめざす取り組み。これまで、観光は主要都市の周辺に限られていて、広がりが限られているという認識がある。また、ツーリズムは、概して、地域社会から受け入れらないことが多いが、コミュニティから受け入れられるようにすることをねらいとする。コミュニティを巻き込むとともに、より調和した状態を生み出すことを目指している。具体的な政策として、2000-2001年でA$400万の補助金が創設されているが、現在、ちょうど対象を選定中の段階。

 

※1998年7月には、国際競争力の強化に向けて、国際的な観光プロモーション、Regional Tourism等の振興を推進する観光行動計画(National Action Plan for Tourism)が策定されている。この中で、Regional Tourism Programに対するファンドを倍増すること等が方向づけられている。

 

 

 

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