要約
日本における高齢者の猛スピードの増加は、未来観光現像に重大な影響を与える変数として予想されている。高齢者の増加は観光産業において観光需要の創出と未来の観光市場形成に大きな比重を占めるだろう。
近年、地方の観光地では、観光産業の成熟化、景気の低迷などから、観光客の減少に頭を悩ませてきたが、今こそが障害者や高齢者を対象とした観光を促進する好機である。観光地として将来に強い危機感を持った高山市、三重県、福島県、宮城県、岩手県などではバリアフリー観光を取り組んでいる。中でも岐阜県高山市は、日本で初めて1994年から官民一体となって、地域住民はもちろん観光者である高齢者と障害者にもやさしい「福祉観光まちづくり」を行っている。事例研究として高山市の地域住民と観光客が一緒に満足できる街づくりの現状と今後の課題を考察する。
高齢者の長い健康を保つためには早期リハビリテーション、予防介護に力を入れることである。そうすると、21世紀の超高齢時代にあっても国の活力の維持とともに高齢者自身が元気で生きがいをもって楽しくすごせるのではないだろうか。
高齢者観光が重要視される理由をまとめてみると、
1] 全高齢者の中で、約86%の高齢者は元気で、活動的に歳をあまり意識しないで、日常生活を行っている。しかし、充分な運動量がとれていない。
2] 観光は住居地を中心として近い地域に限定されている高齢者の生活領域を広げる。
3] 旅行準備と旅行を通じた日常生活と異なる行動と状況による肉体的、精神的な行動を促進する。
4] 社会変化の雰囲気を感じ、社会意識を高めることができる。
5] 観光を通じて自信をつけ、積極的に自己発見、自己開発、生きがいなどを生かせる。
6] 身体的なリハビリテーションや心理的なリフレッシュにも役に立つ。
7] 1]〜6]までの結果として介護予防にも大きな効果を上げられる。
8] 身体的な障害がある高齢者の旅行はその期間中、介護者の休憩期間となる。
経済が発展し生活水準が向上するとともに、物質面だけでなく、高齢者や障害者の余暇活動や観光など精神面の充実を図るニーズも高まっている。