1999年国際観光概観
第2版(2000年8月)
1. 世界の国際観光
観光は明らかに20世紀における最も目覚ましい経済・社会現象の一つと言える。21世紀もこの状態が続くことに疑いの余地はない。年を追うごとに世界中でより多くの人が観光活動に従事し、大多数の国において観光は最もダイナミックで高成長の産業として発展してきている。
世界の国際観光の動きは、国際観光客到着数と国際観光収入で表される。1999年の暫定値によれば、世界の国際観光客到着数は6億6,400万人で、国際観光収入(国際線運賃収入を除く)は4,550億米ドルであった。国際観光客1人がもたらす国際観光収入は685米ドルとなる。
出典:世界観光機関(WTO) Source: World Tourism Organization (WTO)
<過去の動向>
1950年から1999年までの半世紀の間、世界の国際観光は拡大の一途を辿り、国際観光客到着数は、わずか2,500万人から6億6,400万人に増えた。これは平均年7%の伸びである。
その世界的な拡大に加え、現代の観光は、地理的な広がりを見せて発展しているのが特徴的である。多くの国で、国際観光客誘致のみならず、これによる外貨獲得にも成功している。アジア、北アフリカ、中南米、カリブ海地域が新興の旅行目的地として登場し、世界における旅行目的地の多様化が進んだ。1950年には、わずか15カ国で世界の国際観光客到着数2,500万人のほぼ全てを受け入れていたが、1999年には70カ国・地域以上が100万人以上の国際観光客到着数を記録している。1999年には、国際観光客受け入れ上位15カ国が世界の国際観光客到着数総数に占める割合は3分の2以下に減り、上位15カ国の中には長い間上位を占めていた国がアジアや中欧・東欧の国に取って代わられるケースも見られる。