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2) 里親制度不振の要因

前述の、家庭的養護の理念について、子どもが家庭を持つ権利や子どものウェルビーイングについて触れ、里親による養育の大切さについて考えてきた。しかし、1)の現状でふれたように、現在の里親での養護は、施設での養護に比べて1割にも満たない状況である。なぜ、子どもにとって、家庭的養護の理念にかなっている里親制度が伸展しないでのあろうか。以下に、里親制度の伸展しない要因について、長谷川重夫氏、津崎哲雄氏、桜井奈津子氏の視点を取り上げたい。

1] 長谷川重夫氏による視点

里親制度が伸展しない理由として、長谷川(1984)は、歴史的、文化的、および社会的な様々な要因が輻輳かつ重層化している、と考え以下の7点に整理している。

1. 市民意識一般にある要因(ミーイズムの浸透・血縁尊重の思想がいまだ根強くあること・児童を一人の人格と見る人間性重視の思想の乏しさ)

 

 

 

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