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「俺今、まじめだよ。給料貰ったし、一辺、みんなに会いたくなったから来たんだよ。悪ばっかりしたけど、今は仕事続けてるから安心していいよ。これ持って来たから受取って頂戴。少ないけどよ…。」と缶ビール一箱とその上に裸で二万円を乗せて差し出してくれた。

我が家、教会家族であった六年程前には、「だまって借りたのだから。(泥棒したんじゃない)働くようになったら返すんだよ。」の言葉を忘れていなかったのか、事あるごとにみんなと共にK君にも「心の美しい人になれ。他人(ひと)様によろこんで頂ける様努力せよ。」等と煩い程に伝え話した事は、決して無駄ではなかったんだと、我が心は里親としての楽しみと自信、よろこびの心に満たされたのだった。

愛妻も、息子たちも共に苦労心配した者は同じ様に明るい心に満たされた一晩だったに違いない。

「是非、何とか…。」と乞われるままに、小6男子・中2女子と教会家族は里子以外にも増加して、私の父98歳を最高年令に、初誕生日を迎えたばかりの孫までの現在26人の大家族ではあるが、「熱が有る。」「頭が痛い。」と学校を休んだり、挨拶の声が出ない、笑顔じゃないから機嫌が悪いかな、と推案したりで、小事は常ながらも、大事はなく毎日をワイワイガヤガヤながらも、みんな兄弟姉妹家族の心で、怒ったり笑ったりしながらも楽しく(仕方なしも有るはずですが)養育里親は十八年余、続いて来た昨今です。

 

 

 

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