B君は、以前里親さんのもとで養育されていたが訳あって今は施設で生活しているという事だった。同級生という事で、相談所でもいろいろ考えられた様であったが、ぜひB君を迎えたいという私共の気持ちを受け止めて下さり、Bを我家へ迎えることとなった。
AはBが来たということで大いに喜び、私が消防機庫に行っているので呼びに行ってほしいと妻に頼まれ、二人で呼びに行くと喜び勇んで手をつないで前も見ず走り、Bの足にけつまづき、電信柱でおでこを打ち、その反動で今度は後頭部を道路で打つというダブルパンチの打撲をしたのである。寝かせてみるとウトウト…。様子が変で一大事、と、救急病院へ連れて行くこととなった。ひとまず入院という事になり、翌日妻の実家の母に来てもらった。様子を見たが、幸い何事も無かったという事で安どの胸をなでおろした。
○月○日
Aは、二人部屋に入院して同室のおばさんに、母が売店に行っている間にいろいろ話し掛け、「おばちゃん、僕お母さんの本当の子じゃないんで。」と言ったそうで、母に「こんな事を言っていたので娘さんに子供をだます様な事は言わんように言ってあげられた方がいいよ。」と教えて下さったようである。
