I 里親養育事例・里子体験記録
一、里親となって
岡山県里親会 藤澤繁行
(1) 私の動機
―夫として、息子として―
私は、若い頃よりボランティア指向の人間であったように思う。人のためにおせっかいをやく事が好きであった。「あんな事が出来れば。」とか、「こんな物があれば素晴しいな。」と夢見る人が居れば、その夢を叶えてあげたいと思うのである。やり遂げた時、その人が喜ぶ姿を見るのが楽しいのだ。とは言っても、大勢の前で行うお祭り男ではない。自分だけの力で密かに行うボランティアが好きであった。
その私は、結婚十年間経っても子供が出来ないで、両親と妻との大人ばかり四人での家族としての生活であった。私と妻は、それぞれ仕事で忙しい生活であったが、私が三十六歳、妻が三十三歳、父と母がそれぞれ六十八歳と六十四歳になった頃、特別な趣味を持たず、単調に暮す両親を見て、この二人が夢中になれるだろう里子を養育したいと思うようになった。