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又、国民的な拡がりをもった取組を推進する為に、やはりこれも総理大臣主催の下に少子化への対応を推進する国民会議を設けまして各界の代表者、或は有識者の意見を取り纏めていただきまして今年の4月に意見が出されました。家庭、地域、職場、学校等あらゆる分野で子育てしやすい環境づくりに努めるということでそれぞれの立場から施策を推進していただく。このようになっております。

二つ目でございますが、措置制度等の社会福祉の基礎的共通的な仕組の見直しをはかります。いわゆる社会福祉基礎構造改革の為の関係法律が今年の5月に国会で成立致しました。児童福祉の分野についても、21世紀のより良い福祉を目指して、これから基礎構造改革を実際に進めていくということでございます。

三つ目は児童虐待が急増致しまして、これに対応する為、新しい法律「児童虐待防止に関する法律」が、今年の5月に国会で成立致しまして、11月に施行することになっております。

四つ目でございますが、近年心を震憾させるような青少年の凶悪犯罪が多発しておりまして、非常に大きな社会問題となっている訳でございます。これらの事件はごく普通の、どちらかというと真面目といわれるような子供が事件をおこしているという事もありまして、大変非常に難しい問題でございますが、徹底した要因の解明、或は教育、福祉、司法夫々の分野で取り組が必要になっている訳でございまして、今国会でも少年法の改正等が検討されているところであります。

これ等幾つかの大きな問題がございますが、時間がございますので、これ等の中で特に重要と思われるものとして社会福祉構造改革と児童虐待の関係につきまして、もうちょっと詳しく御説明をさせていただきます。

先ず、社会福祉基礎構造改革についてでございますが、我国の社会福祉制度の殆どは戦後間もない時期に法律が次々と制定されまして制度ができたものでございます。しかし、戦後50年余を経過した現在、我国は欧米先進国と肩を並べるまでの経済大国にまで発展してまいりました。社会状況も都市化、或は核家族が進展し、国民生活も創設当時には予想できない程の大きな変化をし豊かになってまいりました。今後、少子高齢化がますます進むことが予想されているところでございます。福祉施策の利用の考え方も当時は経済的な困窮者等のいわゆる限られた者を対象にした施しというような考え方であったものが、現在ではいわば国民の誰でも福祉の対象に成り得る迄普遍化し、福祉需要が増大し増々多様化している訳でございます。

このような変化に対応する為、これ迄個別分野では幾つかの改正、或は見直しが行なわれて来た訳でございます。

例えば、平成9年の児童福祉法の改正におきましては、夫婦共働きが一般化したこともございまして、保育所利用につきまして、従来措置制度という行政処分の考え方をとっていたものを、利用者が保育所を選択して市町村と契約を結ぶ契約制度に改められた訳でございます。

又、今後の本格的な高齢化社会に向けて、介護保険制度が創設されまして、本年4月からは特別養護老人ホーム等の利用等は利用者が直接事業者と契約を結ぶ仕組に改められたところでございます。

より良い福祉の実現を目指し、これ迄の我国の福祉を支えて来ましたこれらの利用の仕組等基礎的な部分を見直しまして、自助、共助の考え方の元に、個人が人としての尊厳を持って家庭や地域の中で、その人らしい自立した生活が送られるように支えるという、こういう考え方を理念と致しまして、福祉の制度を再構築しようと、これが社会福祉基礎構造改革の考え方でございます。具体的な改革の方向と致しましては、一つ目と致しまして利用者の立場に立った社会福祉制度の構築。二つ目と致しましてサービスの質の向上。三つ目と致しまして社会福祉事業の充実、活性化。それから四つ目と致しまして地域福祉の推進。こういうような考え方で法律の改正が行われた訳でございます。一つ目の利用者の立場に立った社会福祉制度の構築と致しましては、先程来ちょっと申し上げております様に利用の仕組を措置から契約制度に改めるという事と併わせまして、利用者保護の仕組を創設をしたという事でございます。

 

 

 

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