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遠山一行氏(音楽評論家)

(脚本を元に音楽を創ることについて)

 

ストラヴィンスキーという人についてフランスの現代作曲家のブーレーズが、こんなことを言っていました。ストラヴィンスキーにとって言葉はすべてであると同時にゼロである。つまり、わかりやすくいえば、ストラヴィンスキーっていう人は言葉の持っている、ロシア語の持っている韻律ですとか、音程の関係ですとか、リズムとか、そういうものを分析して、そういうことを大切にして書いている。そういうことをやって作品をつくる。声楽ももちろんつくる。というわけですが、言葉のもっているそういう性格を音の中に写してしまうと、音が全てになってしまう。そういうことをブーレーズは言っていると思うんですね。

東京でやれることは知れたものです。束京はまぁショーウィンドウのようなもので、ショーウィンドウももちろん大切なわけですから、いろんないいものを集めて、ディスプレイしていただいて買う気を誘う。見たかったらそこで喜んだり、買ってみたり行動を起こしていただくということになるわけです。それもとても大切ですが、文化っていうのはもう少し地域社会っていうか、そこに一つの歴史というものが流れている。東京だってもちろん流れていないというわけではないんですが、非常に細分化された流れみたいになってしまったり、到底われわれの力で及ばないようなものになってしまったりしているんですね。しかし、地方にはやはりまだ、芸術っていう言葉は適切かどうかわかりませんが、そういったものを生み出せるような、新鮮な力が残ってると、私は思ってまして、また、思いたいと思うんですね。

 

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岡崎光治氏(作曲家)

ところで仙台という街の音楽の状況の特徴の一つに、合唱の人たちが仙台の音楽を支えてるということがあると思います。その人たちは合唱するだけでなく、いろんな新しいものにどんどん挑戦していく。新しい音楽に、新しい芸術に挑戦、それからいろいろな情報を貪欲に吸い取ってそれをどんどん周りに流していく、そしてそういうものをみんなで共有していくという性格の方々が多いように思えます。今度もきっとそういうことが行われるであろうと。仙台の街の人たちの音楽のいろいろな力、あるいは考え方などを高橋先生、遠山先生、それから三善先生にお伝えすることが、私の大きな役目の一つだと思います。

 

 

 

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