そのような風潮のなかでは、感受性豊かな子どもたちは、大人が本当に自分のことを心配してくれたり、愛してくれるとは思えなくなっているのではないか。これでは国の将来を担う子どもたちに良いはずはない。従って家庭、学校、地域がお互いの機能を認め合い、支え合って子どもたちを見守り、育てていく雰囲気をつくり出していくべきであろう。
上薗氏:児童養護施設は全国に555ヶ所あり、児童相談所と連携して、家族による養育が困難な子供たちを預かり、社会的な自立を支援している。近年この施設に不登校生が来るようになり「ひきこもり不登校児童福祉対策事業」にも取り組んでいる。現在は虐待の問題で全国的に満杯状態だが、他に行き場所がなくて訪ねて来る人が多い。
学園では3食きちんと取る(食事は大切な要素である)、朝起きて夜寝るというあたりまえの生活をするのが第一である。また就職を希望する子供たちには「自立援助ホーム」の活用も良いと思われる。当学園は学校に戻すことを原則にしており、不登校生を戻す順序として、次のような方法をとっている。
1] まず学校に遊びに行く。
2] 保健室でそこにいる生徒と給食を共にする。
3] 教室を覗いてみる。
4] 登校を少しづつ増やす。
というものである。その結果、子ども同志の支え合いもあって、25年前から全員高校に行っている。高卒は資格化しているので何とか取らせると、仕事にも結びつく。44才の人で、アルバイトから正社員になった人もいるので、要は場とチャンスだと思う。
鹿島氏:まずは生活習慣をつけることで、挨拶と命の大切さを教えている。
徳満氏:日本の産業を支えているのは町工場の技術であるが、これを継ぐ人がいない。我が国にもマイスター制度のようなものが必要で、不登校生にも後を継いでほしい。
富永氏:不登校の95%は医学的な処置は必要ないと思われるので、医療機関に相談するのは考えものだ。子どもに対する評価は肯定的にした方が良い。「のろい」のではなく「落ち着いている」「おっとりしている」と表現する。彼等はけっこうプライドが高い。
考察:
上薗氏の話から、児童養護施設で不登校生の相談にのっていることを初めて知った。しかも全国で100ヶ所以上に心理士が配置されて不登校の相談にのっているそうである。この他にも児童家庭支援センター、自立援助ホーム、情緒障害児短期治療施設等、厚生労働省関係の施設でも、不登校に対する相談や支援が行われていることが分かったのは収穫だった。