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5.2.4 浮体運動に及ぼす浮体軽量化の効果

(1) 自由浮体(無係留浮体)の周波数応答解析結果

図5.7-1、5.7-2にそれぞれ水深10mと3mの不規則波中のSway、Heave、Rollの有義振幅の計算結果を示す。浮体軽量化によってRoll固有周期が短くなるためにRoll応答に変化が見られるが、その他の応答に浮体軽量化の影響はほとんど見られない。

(2) 杭式係留浮体の周波数応答解析結果

自由浮体と同様に、係留影響による基本的な動揺特性を確認するため、周波数応答解析により波浪中動揺及び係留力変動の応答を求めた。規則波中の応答特性から線形重ね合わせの方法により、不規則波中での応答(有義振幅)を計算した。係留特性は線形ばねで近似して考慮した。

杭式係留浮体の計算結果として、図5.8に動揺計算結果を、図5.9にy方向係留力を示す。水深はいずれも10mの結果である。杭式係留は運動を拘束する係留形式であるため、浮体運動は小さい。係留力に明らかに浮体軽量化の好影響がみられる。

(3) 杭式係留浮体の時刻歴係留シミュレーション結果

詳細な係留設計に用いられる時刻歴シミュレーション法を用いてさらに検討を行った。時刻歴係留シミュレーションでは、不規則波及び不規則変動風を考慮し、係留特性も非線形な反力特性をそのまま考慮可能である。計算は30分間相当のシミュレーションを行い、求められた最大値を比較する。図5.10-1、5.10-2にそれぞれ常時及び異常時の係留力最大値を示す。

浮体軽量化の効果によって、全体的に係留力が低減されていることが分かる。最も排水量の大きい普通コンクリートを使用しているCase1の場合は、係留力最大値が350kNを超える外力条件のケースがあるのに対し、軽量コンクリート使用のCase2、Case3では、係留フェンダーの耐力350kNを下まわっており、係留成立性が軽量コンクリートによって向上されていることが分かる。

 

 

 

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