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主催にあたって

寺島紘士(日本財団 常務理事)

 

今日は、日本財団の「海、川、水が教えること〜『総合的な学習の時間』への提案〜」というテーマの研究セミナーにご参加いただきまして、大変ありがとうございます。関東近県だけでなく、宮城、新潟、兵庫などという遠いところからもご参加いただきまして、大変ありがとうございます。

この世の中には、物すごく大切だけれども、案外、それがあることが当たり前になっていて、ともすれば、その恩恵、その大切さということを忘れてしまうというものがございます。本日のテーマでございます水も、その代表的な例ではないかと思っております。

私ども地球は水の惑星と言われておりますけれども、地球の7割は水に覆われております。全体では地球上に約14億立法キロメートルという膨大な量の水があるわけですけれども、その大部分は海にございます。97.5%と言われております。そして、残りはどこにあるかといいますと、1.75%は、北極・南極などに主としてございます氷や雪だそうでございます。そうすると、残りは0.75%しかございません。そのうち、0.73%は地下水だそうでございます。そうすると、私どもが身近に見ております川とか湖の水というのは、もう0.02%以下という状況でございます。ただし、これらの水は全く独立して存在するということではなくて、大きな水の循環の一部として回っております。広大な海面から水が蒸発して、大気中に拡散して、冷やされて、雨となって地上に降り注ぎまして、森を育て、田や畑を潤して、最後は川になって、また海に注ぐと。こういう大きな循環になっております。そういう水の量あるいは水の循環の大もととして、海は大変重要な役割を果しておるわけでございます。

海は、もちろんこればかりではございません。そもそも水があることによって、この地球は人が生存できる程度の温暖な気候を持ち得ておるわけでございますし、あるいは塩、魚、海草、そういう水産物、海の幸を私どもに提供してくれております。さらに今日では、石油や石炭、ガスあるいは金属などの鉱物資源、こういったものも地表の7割を占める海から得ているものが非常に多いわけでございます。さらに我が国日本は、20世紀後半に大変な経済成長を遂げましたけれども、これも元はと言いますと、四方を海に囲まれていて、大量な物資を安く輸入し、また輸出できるという海運の発展に努めたからでございます。そういう意味で、海は人類にとっても、あるいは我が国にとっても非常に重要なものでございます。

 

 

 

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